台湾「慰安婦」像足蹴事件は、右派団体による「歴史戦」のひとつにすぎない

初出:wezzy(株式会社サイゾー)2018年11月13日 日本の右派団体「慰安婦像の真実国民運動」幹事の藤井実彦氏が、台湾に初めて設置された「慰安婦」像に蹴りを入れているように見える姿が監視カメラの映像から発覚した事件を覚えているだろうか。この「慰安…

「性暴力を禁止する法律を育てていく」/あらゆる性差別を禁じる“Title IX”のコーディネーターに聞く、アメリカの今

初出:wezzy(株式会社サイゾー)2017年2月23日 昨年は、東京大学、慶應大学、近畿大学、千葉大学などで起きた、大学生による悪質な性的暴行事件が報道された。発覚した事件は氷山の一角だとも思われ、キャンパス・レイプ事件への大学の対応も問われる状況と…

多発するキャンパス・レイプ 「レイプの首都」と呼ばれたアメリカの大学街で起きた普遍的な性暴力を巡る問題

(初出:wezzy(株式会社サイゾー)2016年12月17日) ミズーラ 名門大学を揺るがしたレイプ事件と司法制度 (亜紀書房翻訳ノンフィクション・シリーズ II-12) 作者:ジョン・クラカワー 亜紀書房 Amazon モンタナ州第二の都市、人口7万人の街ミズーラ。ここに…

旭川市でいったん止まった条例制定の動きと市民運動

『週刊金曜日』2022年10月28日(1398号)特集「統一教会だけじゃない!part2:「家族」に介入する自民党と宗教右派」内掲載記事 (編集部の許可を得て転載) 2020年頃から「家庭教育支援条例」制定に向けた動きが活発化した北海道旭川市では、統一教会…

「家庭教育」めぐる連携の動き、 何が問題か

『週刊金曜日』2022年10月28日(1398号)特集「統一教会だけじゃない!part2:「家族」に介入する自民党と宗教右派」内掲載記事 (編集部の許可を得て転載) 報道や国会などで連日、統一教会が槍玉にあげられ、政界での唯一の暗躍者かのような印象を世間に…

「行動する女たちの会」関連書籍を紹介

エトセトラ VOL.4に、石川優実さんによる元「行動する女たちの会」の山田満枝さんと髙木澄子さんのインタビューが掲載されており、それが「フェミやろ」のイベントの際にも何度か話題にのぼっていました。「行動する女たちの会」の人たちのお話をぜひ!と勧…

北米の「慰安婦」関連の像や碑(2020年9月現在)

2018年にこのブログに一度リストを載せましたが、その後新たにできたものもあるので、最新版を掲載しておきます。 2010年10月 ニュージャージー州バーゲン郡 パリセイズ・パーク 碑 2012年6月 ニューヨーク州 ナッソー郡 碑 2012年12月 カリフォルニア州オレ…

雑誌『DAYS JAPAN』最終号の感想

雑誌『DAYS JAPAN』の性暴力事件報道を受け、その検証を行うとした『DAYS JAPAN』最終号が発売された。 内容がないどころか、広河氏の言い分垂れ流しの第一部と、本来の事実の調査と検証という目的から目を逸らさせるために存在しているかのような第二部で、…

在アトランタ日本国総領事館からのブルックヘイヴン市「少女像」に関する質問状への回答

Web世界に、アトランタ近郊のブルックヘイヴン市の「慰安婦」少女像に関する記事を掲載していただきました。 websekai.iwanami.co.jp 5月に、ブルックヘイヴンを訪れ取材をした内容に基づいたものです。記事内でも紹介しましたが、この取材内容に関連して、…

北米の「慰安婦」碑・像の一覧

アメリカ・カナダに建っている「慰安婦」の碑及び像の一覧です。(2018年7月15日現在) 2010年10月 ニュージャージー州バーゲン郡 パリセイズ・パーク市 碑 2012年6月 ニューヨーク州 ナッソー郡 碑 2012年12月 カリフォルニア州オレンジ郡 ガーデングローブ…

6月3日、日本女性学会で報告します

久々に6月2、3日に武蔵大学で開催される日本女性学会大会に参加し、午前の個人研究発表、午後のワークショップにて報告予定です。ご近隣の方はぜひ! 10:00-12:00 個人研究発表 (1号館4階 1403 教室) 「田嶋陽子とバラエティ番組をめぐるエスノグラフィー―…

家庭教育支援条例が制定されている自治体の一覧

今国会で自民党が提出予定だと報道されてきた「家庭教育支援法案」ですが、それとほぼ同じような内容の「家庭教育支援条例」が各地の自治体で着々と作られています。 どの自治体で通っているのかと、条例の内容が確認できるように、条例が制定された自治体を…

上野千鶴子さんの「憲法改正論議」に対する楽観主義

上野千鶴子さんの2月11日付「中日・東京新聞」のインタビュー記事「平等に貧しくなろう」に端を発する議論が巻き起こっている。決定版とも言えるような、稲葉奈々子さん・高谷幸さん・樋口直人さん共著の上野さんへの回答文も含め、重要な論点はすでに出て…

自民党が次期国会提出予定の「家庭教育支援法案」に関連して

10月22日付の『朝日新聞』に、「家庭教育支援、国が方針 住民の協力は「責務」 自民法案」という記事が掲載された。これについていくつかツイートをしたものを簡単にまとめた形で、こちらにも掲載しておく。自民党が来年の通常国会に提出予定という「家庭教…

映像記録『行動する女が未来を拓くー行動する女たちの会20年の記録』のDVD完成

ついに、映像記録『行動する女が未来を拓くー行動する女たちの会20年の記録』のDVDが完成しました! DVDは、送料込みで680円で販売します。複数枚ご注文の場合、680円×○枚となります。お申し込みご希望の方は、「行動する女たちの会」映像を記録する委員会 k…

台東区で『行動する女が未来を拓く ―行動する女たちの会20年の記録』上映会&トーク

参加費無料・申込不要 ===================== 世の中を変えるために行動を起こしてきた 女性たちの声をきいて考えよう! ===================== 日時:9月25日(日)10:30(10時開場)−12:00 場所…

日本の右派の英語発信の歴史についてのメモ

先週、SYNODOSに「猪口邦子議員から本がいきなり送られてきた――「歴史戦」と自民党の「対外発信」」という記事を書いた。だが原稿が長くなってしまったので、本筋から少しずれるところをカットすることになった。自分用の記録という意味も兼ねて、カットした…

 育鵬社の新編『新しいみんなの公民』 さながら“安倍晋三ファンブック” 憲法改正に向けての動きを作り出すツール

育鵬社版の公民教科書は、 国家に貢献できる人材づくりを目指したものだ。そして、前回検定版にも増して、改憲にむけての動きを作り出そうという狙いが 明白な作りである。 冒頭で「グローバル化」を扱うが、そこでは 国の歴史、伝統、文化を踏まえた存在こ…

リプロの視点から「女性の健康の包括的支援法案」について考える集会での配布レジュメ

昨日、9月6日に文京区民センターで開催された「女性の健康の包括的支援法案」について考える集会に、発言者の一人として参加させていただきました。(主催団体の一つ、SOSHIRENのサイト掲載の集会案内文もご参照ください。)そこでの私の発表レジュメ内容…

小田嶋隆氏「『女性差別広告』への抗議騒動史」の何が問題なのか?

コラムニストの小田嶋隆氏が、「「女性差別広告」への抗議騒動史」という記事をブログにアップした。そもそもの経緯は、小田嶋氏のツイッターでの「従軍いやん婦」発言にさかのぼる。その発言をめぐる一連の経緯はTogetter「小田嶋隆さんの”従軍いやん婦”発…

危惧される「婚学」のゆくえ―安倍政権下の男女共同参画との親和性

今年の1月15日に発行された、メルマガ“α-Synodos" vol.140「結婚ってなんだろう」特集号に掲載された表題の文章、メルマガ発行後数ヶ月たってそろそろいいのではということで、ブログに掲載することにしました。「婚学」に加え、「親学」についても扱ってい…

*[男女共同参画] 危惧される「婚学」のゆくえ―安倍政権下の男女共同参画との親和性

今年の1月15日に発行された、メルマガ“α-Synodos" vol.140「結婚ってなんだろう」特集号に掲載された表題の文章、メルマガ発行後数ヶ月たってそろそろいいのではということで、ブログに掲載することにしました。「婚学」に加え、「親学」についても扱ってい…

*[男女共同参画]性差別の撤廃が男女共同参画の目的といえない男女共同参画局:Facebookでのやりとりの続き

前回のエントリで、男女共同参画局とのFacebookでのやりとりを紹介した。斉藤さんや私の提示した「男女共同参画局や担当大臣は性差別を撤廃を最重要と考え、それにむけての取り組みを重点的に進めるのか」という問いについては、返事がないままになっていた…

何のための男女共同参画なのか?:男女共同参画局とのFacebookでのやりとり

男女共同参画局が、公式Facebookページを先月末に開設した。 ものすごく充実した内容を期待していたわけではもちろんないが、情報収集はできるかと思って、早速私もフォローしてみた。そして、3月8日、国際女性デーについての、以下の男女共同参画局による…

『社会運動の戸惑い』読書会@関西学院大学(12月16日)

金明秀さんと山田真裕さんのご尽力で、関西学院大学にて12月16日に、『社会運動の戸惑い』読書会を開いていただけることになりました。著者の斉藤正美と私も参加させていただきます。楽しみです。日時:12月16日(日)2:30-5:00pm 場所:関西学院大学社会学…

『社会運動の戸惑い』がいくつかの媒体で紹介されました。

10月末に発売された書籍社会運動の戸惑い: フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動ですが、発売2週間で増刷決定。今のところ売れ行き順調、とのことです。いくつかの媒体でも紹介されはじめています。最初にご紹介いただいている媒体がなんだか濃…

『社会運動の戸惑い』ついに発売!&座談会後半公開

『社会運動の戸惑い』、ついに今日、発売となりました。アマゾンでも売り出したようです。(まだ本の写真出てないけど...早く出ないかしら。。)社会運動の戸惑い: フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動作者: 山口智美,斉藤正美,荻上チキ出版社/…

『社会運動の戸惑い』発売記念の座談会

10月31日に、ついに発売となります。社会運動の戸惑い: フェミニズムの「失われた時代」と草の根保守運動作者: 山口智美,斉藤正美,荻上チキ出版社/メーカー: 勁草書房発売日: 2012/10/31メディア: 単行本購入: 8人 クリック: 332回この商品を含むブログ (36…

中ピ連を再評価する

「フェミニズムの歴史と理論」に、斉藤正美さんと私による、中ピ連関連の2つのエントリをアップしました。 中ピ連のメディア活用とその功罪 斉藤正美さん 中ピ連の運動とその様々な評価 山口智美 これまで、女性学・ジェンダー学界隈では、批判的に語られる…

北原みのりさんの「怒りを鎮める」エントリと、「大義名分や正義」批判に関して

前のエントリで、ツイッター上での北原みのりさんたちとのやりとりに関して、私からみた経緯をまとめてみた。そのやりとりを経て書かれたと思われる、北原みのりさんの「怒りを鎮める」というタイトルのブログエントリなのだが、具体的な流れを書かず、いっ…