学会選挙制度の違い

前回の3月10日付けエントリでとりあげたニュースとともに、日本女性学会の幹事選挙の投票用紙も送られてきた。会員の名前が全員分ずらずらと並んだ紙があって、投票したい人にたいしてそれをマルで囲め、となっている。それと一緒に「会員名簿」も同封されているのだが、わかるのは関心分野と所属くらい。基本的には名前があるだけで、その人たちがどんな略歴をもち、幹事としてどういう仕事をしたいと思っているのかということはいっさいわからない。

このシステムだと、結局「聞いた事ある名前」、すなわち、有名人とか、あるいはすでに学会幹事を経験したことがある人とかばかりに投票が集中してしまうのではないかと思うのだった。しかも、10人も原則として選ぶ必要があるという。常日頃学会にせっせと足を運んでいる人たちとかならいいのだろうが、たまにしか行かない私のような人間にとって、この名前のリストから10人選ぶというのは、かなりきびしいものがある。「よくわからないし、名前を聞いた事がある有名な人に、、」と思わず投票してしまいそうな気分になる。(が、それをすると、日本女性学会の今ある権力構造を温存することにつながりそうだな、、という葛藤がある。)

「選挙運動は自由」と書いてあるが、いったいどうやって選挙運動をするのだろう。また、例えば海外在住の人間に票がきたとしても、その人は実際に幹事になるのは無理だと思われるわけで、日本女性学会の場合、わりと頻繁にミーティングを東京で開いているようだから、それに出席できない人は幹事活動は無理ということなのだろうと想像する。

友人に日本の学会というのはどこもこういったシステムなのか?と聞いてみたら、少なくとも私が昨年はいったマスコミ学会は同様だといわれた。他の日本の学会は私は入っていないのだが、どうなんだろうか。

例えばアメリカ人類学会の場合は、サブセクションも全体の役職にしても、いちおう表向きは立候補制(実際は裏で立候補する人を頼みまくって無理に候補者を揃えている場合もあるのだろうが)となっており、立候補者の略歴と、この役職についたらどんなことをしたいという簡単な文章が添付された情報が会員に届く。会員はその情報に基づいて投票するということになる。まあ、アメリカ人類学会は巨大すぎて、投票といっても膨大な数の役職について投票しなくてはならず、これはこれで大変で、投票率はそう高くはなさそうな気もするのだが。

学会運営のための幹事がしなくてはならない作業の度合いやら密度が、日本の学会のほうが圧倒的に高いということも日本でしょっちゅう対面ミーティングをしている背景のひとつだとも思うが、アメリカの場合、実際に会ってミーティングをするのは年次大会のときのみだろう。(だからこそ、アメリカ国外在住者でも役職につくことができる。)あとはメールなど、ネットを使って意思疎通をはかる場合がほとんどだと思う。

ずいぶん学会の幹事を選ぶ方法が違うもんだなあ、、と思う。