WANの政党アンケート本文についてコメント

当ブログ8月6日付の「WANの緊急政党アンケートにみる、フェミニズム「理論」と「実践」の乖離」エントリで言及したWAN(ウィメンズ・アクション・ネットワーク)の政党アンケートだが、その全文がWANのサイトに掲載された。(斉藤正美さん (id:discour)のブログでも言及されている。)

で、当ブログ8月6日エントリでリンクをはったWANの「【特設:衆院選】衆院選は「女性」が争点!――緊急政党アンケート」というエントリが急に内容が変わって、実施の趣旨文とアンケート全文へのリンクになってしまっている。8月6日づけエントリで言及した差異には、実施の趣旨と今名付けられている文章が、私がリンクをはったエントリに掲載されていたのに。一度アップしたエントリ、予告もなく中身変えないでほしいものだ。私のみならず、ブログなどでリンク貼った人たちもいるかもしれず、わけわからなくなってしまうではないか。おかげで前エントリに慌てて新たに付記をつけたしたりしなくてはいけなかった。ネット上というのはほかのサイトにリンクされたり、言及されたり、批評されたりして言論が形成されていく場だという意識が緩いんだろうか。

まあそういう細かいことはおいておいて、アンケート本文のほうについて軽くコメントを。

全文をみてみると、あいまいでいったい何を扱うのかと思っていた「女性の人権」項目は、単に「女性の雇用」と「女性の貧困」という項目にはいらなかったもので、このアンケートをつくった人たちが個人的にこれ聞きたいと思ったようなことを、ごった煮的につめこんだというものだったようだ。

(3.2)の「ジェンダー」という言葉の使用云々の項目があるところに、このアンケートをつくった人たちのこの問題への関心度の高さと熱意が現れているようでもある。しかし「言論弾圧なので取り締まる」って、「取り締まる」主語は誰なんだろう?「貴党はどうお考えでしょうか?」なのだから、政党に取り締まれといっているのか、それとも国の政府?警察?政党って何かを「取り締まる」という団体ではないと思うしなあ。(っていうか「取り締まる」って言葉自体がなんかこわい。「言論弾圧」なので「取り締まる」っていう流れに違和感、というか。)

(3.5)のDV、ストーカー、強かんなどについての項目。「DV(ドメスティック・バイオレンス)やストーカー、強姦等が社会問題となっています。これらの女性への性暴力について、貴党はどのようにお考えでしょうか」DVやストーカー、強かんなどは、必ずしも「女性への暴力」とイコールではないはずだが。これらが女性への暴力として使われた場合、といいたいのか、女性への暴力としてよく起きるこれらのケース、といいたいのかなあとは思うが、文章としてちょっと変な気がする。

そして、(3.6)の「性的少数派の人たちの権利擁護について、貴党はどのようにお考えでしょうか。該当するものを〇で囲んでください。また、その他にお考えがあればお書き下さい。」という項目。「女性の人権」の枠内で「性的少数者の人たちの権利擁護」という項目がでてくるのはやっぱり変だ。そしてほかの質問項目には具体的な選択肢がたくさんあるのに、この項目には何もない。これだと、質問状を出す側が具体的に何も考えてないのかと思われても仕方ないし、アンケートの最後の項目ということでもあり、なんか慌ててつけたしてみました感が炸裂という印象につながってしまう。

もう一点。これほど最近法改正について話題になってきた、児童ポルノ法に関する質問は完全にスルーされている。いま、ネットでフェミニズムに関する話題でもっともホットに議論されているうちのひとつが、児童ポルノ法だと思うのだが、これを、ネットに掲載してよびかけるという方法をあえてとった質問状において、完全にスルーしているところに、主流フェミニストたちがいかにネット、および社会の関心からずれてしまっているのか、も見えてくるような気がするのだ。