リブに関する本をいくつか紹介

G★RDIASブログの、font-daさんによるエントリーで、リブに関する本が2冊ほど紹介されている。
私の名前も脚注で出していただいているし、ネットでこういうリストはあまりまだ出ていないのかもしれないので、私の手元にあるリブ本をいくつか紹介。
抜かしているものもあると思うので、これ重要なのに抜けてるぞ!というものがありましたら、コメント欄に書いていただけると嬉しいです。(私もまた後で、ほかに思いつくかも、、)

まずはリブを語るに必須のこの3冊。当時のリブの書き物のコレクション。これだけの資料を選び、各団体や文章の著者に連絡をとり、、と、編集は大変な作業だったという。1〜3巻まで、年代、テーマ、地域と複数の柱のもとに構成されており、リブがいかに一極集中ではなく、さまざまな地域で起きていた多様な動きだったかというのがわかる。

資料日本ウーマン・リブ史 (1)

資料日本ウーマン・リブ史 (1)

資料日本ウーマン・リブ史 (2)
資料日本ウーマンリブ史?

そしてこちらも必須の一冊。『銃後史ノート』と『銃後史ノート戦後篇』全冊は、日本の女性運動史を語る上で欠かせない書物だ。他の巻は女性史家たちがまとめた文章が主になって掲載されているが、この最終巻の『全共闘からリブへ』だけは、当事者たちが書いた文章が主になっており、興味深い座談会も掲載されている。

font-daさんも挙げておられるので、今更言及するまでのこともないかもしれないが、影響力甚大だった本だし、ある意味リブの古典でもあるので、挙げておく。リブ=田中さん、という評価はおかしいと思うが、この本が多くのリブたちに読まれ、影響を広く与えたのは事実だし、今読んでもパワフル。
いのちの女たちへ―とり乱しウーマン・リブ論

いのちの女たちへ―とり乱しウーマン・リブ論


「ウルフの会」などに関わっていた秋山洋子さんによる、リブ運動経験に基づいたリブの歴史。

リブ私史ノート―女たちの時代から

リブ私史ノート―女たちの時代から


リブに関して勢力的に著作活動をされ続けている、加納実紀代さんの私的なリブ(やその時代)の歴史

まだ「フェミニズム」がなかったころ―1970年代女を生きる

まだ「フェミニズム」がなかったころ―1970年代女を生きる


山川菊栄らの呼びかけにより創立。1962年代から活動をはじめ、2001年に解散。とくに女性学がなかった時代、地道な研究や議論を積み重ね、目立たないが重要な役割を果たした団体だと思う。いわゆる「リブ」といえるかどうか、人によって評価は割れるかもしれないが、リブに大きな影響をうけたり、自らも「リブ」となのる会員は多くいたと聞く。

社会変革をめざした女たち―日本婦人問題懇話会会報アンソロジー

社会変革をめざした女たち―日本婦人問題懇話会会報アンソロジー


家庭科の男女共修をすすめる会の記録集。この会なくしては、家庭科の共修は達成されなかっただろう。70年代から、女性運動は教育における性別役割分担を批判していたのだ。74年発足、97年解散。一テーマに集中して運動を長年にわたってすすめ、成功し解散した運動体の例でもある。

家庭科、男も女も!―こうして拓いた共修への道

家庭科、男も女も!―こうして拓いた共修への道


私も編集委員会の一員だった、「国際婦人年をきっかけとして行動を起こす女たちの会』の記録集。本文には75年〜85年までの会の歴史が実際運動に関わった方々の視点から書かれ、巻末年表には86〜96年までの歴史も加わって掲載。(この会が「リブ」かどうかも評価が分かれるところだけれど、この記録集の編集に関わった人たちは自らを「リブ」と呼ぶ人たちが大部分だった。)

行動する女たちが拓いた道―メキシコからニューヨークへ

行動する女たちが拓いた道―メキシコからニューヨークへ


行動する会が86年、『行動する女たちの会』と名前を変えて以降に力をいれた、メディア関係の運動の記録。

ポルノ・ウォッチング―メディアの中の女の性

ポルノ・ウォッチング―メディアの中の女の性


文学史を読みかえる」シリーズの一冊。

リブという“革命”―近代の闇をひらく (文学史を読みかえる)

リブという“革命”―近代の闇をひらく (文学史を読みかえる)


リブに関する本としてはいちばん最近(2006年)発行の本。

女(リブ)たちの共同体(コレクティブ)―七〇年代ウーマンリブを再読する

女(リブ)たちの共同体(コレクティブ)―七〇年代ウーマンリブを再読する


リブ運動に関わり、「女性学」という言葉をつくりだした研究者、井上輝子さんによる初期の本。リブの思想やミニコミについての論文所載。

女性学とその周辺 (1980年)

女性学とその周辺 (1980年)


学者によるリブの再評価、という面で影響力がかなりあったと思う本。(以前このブログで書いたように、江原さんのリブ史観には私は問題を感じるけれど、、)

女性解放という思想

女性解放という思想



出版物もけっこう出ているのだが、やはりリブなど運動を知るには、出版されていないミニコミ類などを見るのもとても重要だったりする。
リブ関連の資料は、『資料ウーマンリブ史』の編者さんたちが、大阪ドーンセンター、横浜女性フォーラムに寄付されており、閲覧することができる。
行動する会のニュースレターやパンフは、東京ウィメンズプラザ、お茶大ジェンダー研究所などで閲覧可能。