青森での日本女性学会レポートその1

6月14−15の日程で、青森市で開かれた日本女性学会の年次大会に出席してきた。そのレポートをぼちぼち書いていく。
まずは全体的な印象から。いつも女性学会というところは、私と同じフェミニストたちが集う場のはずなのに、そこはかとない違和感を感じる場所でもある。だが今回は、その違和感の度合いがますます高まったと感じた。それは、もちろん私が近年、日本女性学会の方向性に関する批判を繰り広げていることも一因だろう。以前出たときまでは、違和感はあったものの、ただ単に「内輪ノリについていかれない」程度のものだった。だが今回は、それに加え「よってたつ前提にかなりずれがあるのに、それがないかのごとく、同質性の高い集団という前提のもとにすすめられていく議論」への違和感が強かったように思う。

青森という地方での開催だったことに加え、14日に東北地方であった地震の影響もあってか、参加者は少なめだったように感じた。そんな中でも地元の青森や近県で、男女共同参画センターまわりの運動に関わる方々や学生さんらもいらしてはいたのだが、そんな中興味深かったのが、いわゆる「学者」の発言がやたら長いことである。私が行った分科会やワークショップにしても、「学者」(とくに常勤職をもつ人たち)の発言がとにかく長く、一人で何度も長々と発言しても平気な人たちもいた。そのため、せっかく地元の方々もいらっしゃるのに、その方々の声が場の中心になりづらい状況だったように思う。
そして、長い長い発言で特定個人が場を独占するのを止めることもせず、ひたすら流れに任すだけの司会が多すぎることにも驚いた。司会者が司会の仕事をまったくこなしておらず、むしろ自分が話そうとするようなケースが目立った。あるいは、司会者が発言者の長すぎる発言を途中で切ることもせず(とくに「えらい」先生が発言している場合)、議論の流れをまとめることもしないのだ。こんなに司会がうまくないというのはどうしたことなんだろう?司会をするのは幹事のお仕事のようで、皆さん司会には(授業でのディスカッション運営なども含め)慣れておられる方々だろうに、、

総会では、木村涼子新代表幹事が、今後は女性学会も情報公開をすすめるというご発言をされていたので、ではそれをどのように具体的に行われるつもりなのか、お考えがあればお聞かせ願いたいというのと、「若手」にもいろいろ学会シンポなどの企画に参加してもらってオープンにしていきたい、というようなことを言われたことから、「若手」が参加するには、経済的制約などもあり非常に厳しいことも多いと思うが、その際にかかるたとえば交通費などのコストは捻出するつもりなのか、という質問をしてみた。とくにその前に、学会の財政状況が厳しいという話を何度も聞いたからでもある。これらの質問に対し、具体的なお答えは伺うことはできなかった。交通費や、あるいは時給などのコスト捻出については、意見が割れているようでもあった。

この「若手企画」に関しては、昨年もやってみたがいろいろうまくいかないこともあったり、、と言葉を濁される場面もあった。これは、去年の学会におけるクィアシンポのことをさしているのだろう。しかしこれも、言葉を濁して終わりというのはちょっとな、、という感じである。(こういった濁しがそのまま不問で通ってしまうところが、また内輪的ノリを増幅させているように思う。)
それにしても気になるのはこの「若手」という表現。年齢が一定より若いということなのか(何歳くらいまでが「若手」扱いなんだろう?)、それとも常勤職についていないということなのか。いろいろな人にオープンであるべき、というスタンスらしい女性学会だが、運動系の人たちはこの「若手」定義のなかでどこに位置づけられるのだろうか。謎である。

id:discourさんも書かれていたが、HPが「若手」にアピールしないので、会員増をめざして「若手」にアピールするようなデザインに変えていくという話もでた。それに予算が36万円投入されるらしい。この36万という数字はどこからでてきたのか、デザインだけ変えるつもりなのか、それとも中身も吟味しなおすのか、現在HPに掲載されているニュースレターは一部削除されているが、それは今後も削除するのか、代表名くらい明記するべきではないのか、会の連絡先メルアドも欠けているのはどうなのか、、など質問したいことが山積みだ。斉藤さんが一部質問されていたが、これも議論の時間はまるでなく、要望をいくつか言うのみで終わった。HPは業者に丸投げしてデザイン変更だけで適当にすませる、というようなことがないように、中身が充実したものになるように期待したい。