ファイトバックの会HP掲載文書への反論を掲載

ファイトバックの会の代表、副代表名で、先月に会のHPに掲載された文書「ネット上での当会に対する誹謗中傷について」への、謝罪チームに属していた元会員、現会員からの反論をまとめた文書を、「ファイトバックの会 謝罪問題まとめ@wiki」に掲載しました。

もともとの会からの文書が長かったこともあり、反論もかなりの長文になってしまったので、反論の概要を箇条書きにした文書と、詳細な反論文と、両方掲載してあります。おおまかな主張の概要をお知りになりたい方は概要を、それだけではなく、会の文書に対する詳しい反論をお読みになりたい方は詳細のほうもご覧いただけるとよいかと思います。

反論の概要

反論の詳細

バックラッシャーと「日本刀」の「ストーリー」構築

女性学会レポの一部だが、これだけファイトバックネタが絡んでいるので別項目にしておく。
会からお二人会場にいらしていた。お一人(代表の方)は、イダさんが話すと「そうだ!」とか「イダさん頑張って!」とかかけ声かけており、なんかすごい勢い。でもいかにもファイトバックの会的なノリでもあるんだよな。あれがああいう、自分たちのホームとはいえないコンテクストの集会で効果があると考えているのがなんというか、、やっぱり「第三者」からのまなざしにあまりに鈍感としか言いようがない。(この「第三者からのまなざしへの鈍感さ」については、先週の大阪「フェミニズムとインターネット問題を考える」研究会のときもだいぶ指摘したのだが、やっぱり変わらないなあ。大阪研究会にも会からはおひとりいらしており、やはり同じようなノリでご発言を繰り返され、かなりの時間をとられたのだった。そういった場で、何も知らない人にどういう印象を(会について)与えるか、もうちょっと考えた方が、、、と今は人ごとなれど、以前自分も深く関わった会だけに、かなり残念に思ってしまったのだった。

その会の代表の発言は、基本的に裁判およびF会の宣伝。私につっこみいれたい感じはあったけれど、私がひどくシンプルなレスしたら、それでつっこみ自体は終わってしまったよう。で、彼女は、id:cmasakさんがブログでレポートしていたような、「バックラッシュ勢力から、密室で日本刀をだされて恫喝された」みたいな話をしたのだった。

おそらくこれは、裁判書面−おそらく原告陳述書からとってきた話の可能性が高いだろうとピンときた。たぶん、私はこの裁判の書面の類いを会の人(世話人含む)たちの大部分より読み込んできたと思う。(とくに原告陳述書に関しては、その配布に関してちょっと会の中でもめたこともあり、細かく読んだ。)でもしばらく陳述書は読んでいなかったから、この代表発言に「何か違うぞ」とひっかかりを感じながらもその場では確信できなかったので言わなかったが、帰ってきてから陳述書原本(会が売っているものではない、裁判所提出版)を読んで確認してみた。

実際の陳述書の記述は以下のようなもの。(個人名はアルファベットに変えています。)

(yamtomによるコンテクスト解説:数人といっしょにいわゆる「バックラッシュ派」K議員によびだされた原告。部屋にはほかにも数人の市民(K議員側)たちがいる状況。「市民」たちがいろいろ要求を伝える。)

「時々、K議員が大きな声で口をはさみました。市側は、だれも抗弁しませんでした。私も、じっと聞いていました。夜9時半を回った頃、「いったいどうなんだ!」「(市は)帰れよ!」と怒鳴りながらテーブルをバーンと強打した時は、さすがにギクリとして心臓がドキドキ鼓動するのがわかりました。(途中略)
男女共同参画推進課のある人権文化部の部屋にもどったら、N人権文化部次長(兼人権文化まちづくり推進室長)が一人残っていました。市の人たちがあらましを報告し、私が、K議員がテーブルをバーンとたたいて脅したことを話すと、N次長は「ここまで聞こえた」と言い、「以前は刃物を前において恫喝したこともある」と刃渡りを示すジェスチャーを交えて私に告げました。」


昨日のフロア発言者(ファイトバックの会代表)の話だと、誰かがひとりでよびだされ、密室で日本刀で恫喝されたようなストーリーという印象だったが、「密室」であるともとくに書いていないし、複数名が部屋にいる中で(しかも(そのときには少なくとも)原告側にたっていたことになっていた市側の人たちもいる中で)起きたことだ。刃物も「日本刀」とは書いておらず、ばーんと机を叩いたときと、「刃物」が前におかれたときは別の時のことだ。そして「刃物」の話自体が原告の又聞きである。そもそも、フェミニズムへの「バックラッシュ」というコンテクストで「刃物を前において恫喝」が行われたかもわからない。

書面に書いてあるストーリーと、少しずつずれていっており、結果としてやたらとおおげさな「フェミニズムに対するバックラッシュ勢力はおそろしい」という話になっている。「もちろん刃物を前において恫喝」が怖くないと言っているわけではないし、それは問題であることは確かでもあるのだけれど、こうやって、昨日チキさんの言った「(バックラッシュに関するフェミ側の)ストーリー」がつくられていくんだ、というよい事例となってしまっていたのだった。

「フェミニズムとインターネット問題を考える」研究会終了

昨日、「フェミニズムとインターネット問題を考える」研究会が大阪で行われた。詳細な報告は後に(このブログ上ではないかもしれないが)アップすることになると思うが、とりあえず感想などいくつか。

今回の公開での研究会は、今まで非公開で5回ほどつみあげてきた研究会活動の集大成的な位置づけで、そのなかで、ファイトバックの会の運動と、そのネット利用に関して、ネット上での誹謗中傷問題を起こしてしまった反省に基づき、詳細に検証をし、議論をするということを行ってきた。同じ間違いを再びおかしたくない、そして、この教訓をなんとか今後のフェミニズムおよび市民運動のなかで生かしていきたいという思いからである。

研究会活動に関わってきた、ファイトバックの会と多様な、しかし何らかの関わりをもって会員として活動してきたメンバーによる、ひとり10分ほどのプレゼンを行い、最後に若干、いわゆる「謝罪問題」に関して説明し、その後ゲストの方お二人によるご感想、ご意見と、会場との質疑応答、討論といったプログラムだった。あまりに盛りだくさんな内容だったので、議論の消化不良感は残ってしまった面は否めないが、それでもこれだけ細かくネット利用のひとつの事例をみたケースは初めてだったのではないかと思うしそういった意味でも意義は深いものがあったと思う。これをきっかけに、フェミニズム運動とネットに関する議論が発展していけばいいな。

いくつか会場の質問やご意見を得たなかで、答えなくてはと思いつつ、私が個人的に時間不足でしっかり答えられなかったりした事について、忘れる前に記載しておく。

  • ブログは公開だが、MLは私信なのに、その二つを混同しているのではないかというご意見に対して。これは会場でもいったけれど、「MLを私信」ととらえていいのか、という問題があると思う。ファイトバックの会の場合、ML投稿からピックアップされてブログに掲載されることがよくあった、という面では特殊例ともいえ、MLとブログと両方を比較検討しないと見えてこないものがたくさんあるという面はあった。(でも昨日は、研究会メンバー全員が、公開のネットという場に掲載さえていたブログ投稿は全文引用しても、MLに関してはしておらず、特色を指摘したにとどめている。)それに加えて、たとえばファイトバックの会のMLの場合、300人がはいっていたという媒体だった。300人に瞬時に1クリックで情報が送れてしまうものを、「私信」であると理解することはナイーブすぎるのではないかと思う。そして、MLというのは、どんなに転送しないでくださいと管理者がいったところで、転送されることをコントロールしきれるものでもない。そういったリスク面もしっかり理解した上で使うべきものでもあるのではないか。ファイトバックの会の場合、MLが内輪の「井戸端会議」化してしまい、実は300人媒体であり、公共の性格をもつものだということを忘れてしまったことも、ML上で問題が生じたひとつの原因だろうという指摘が数人から出たと思うが、MLというものの特色、および限界をよく理解することも運動をすすめる上で、重要だと思う。(これはファイトバックMLに限った問題でもなく、フェミニズム系、および市民運動系ML一般に関してもある問題だろうし、たとえば最近閉じることになったAMLをめぐる問題などとも関連づけられるかもしれない。)
  • 「労働力の搾取」という概念を私が使ったことに関して。賃金を払われている人に対して「搾取」というような言い方をするのはどうか、といったご意見がでた。女性運動において、どうしても、「ITが強い」とされる人、あるいは「若い人」などという位置づけの人が単純労働力として使われまくり、疲れ果ててやめていく、といったパターンが目立つという指摘があったことに対して、たとえばウェブ担当者が賃金を支払われている場合、それを「搾取」とよべるのか、といった疑問が会場から提示された。だが、「賃金を払っていれば搾取ではない」という考えは無理があるだろう。ウェブ担当者が、たとえば大学常勤教員なみの給与および福利厚生などを受け取っているならまだいいかもしれない。しかし、おそらくそうではないケースが多いのだろうし(とくにフェミニズム系団体でウェブ関連の作業を担う人たちの場合)、ウェブがからむ仕事というのは、24時間体制である。労働としても、ひじょうに厳しい状況になりうるものだし、その負担が特定の個人および数名の人たちばかりにいき、馬車馬のように作業をさせられ、しまいには疲れ果てるような状況というのは、立派な労働力の搾取といえるだろう。「賃金払っているから搾取ではない」っていう論理展開自体、おかしいと思う。(蟹工船だってちょっとの賃金は払われていたわけだし。)
  • 「自称IT弱者」たちがいつまでたってもそのポジションから抜けようとしてくれない、という問題に関して。「IT弱者」といってもいろいろいるのだから、、という声もあったが、もちろんスキルレベル的にはいろいろいるだろう。当たり前だ。ただ、私がいいたかったのは、「私はIT弱者です」と、リソースも何もかももっている人たちが言ってしまう/言えてしまうことの権力性、というものはあると思うし、私が指摘したいのは、やろうと思えば資金的にも環境的にも可能な状況なのに、やろうとしない人たち、あるいは堂々と「弱者です」と発言することで、やったことに対して責任をとらないとか、仕事がほかの人にまわされていく状況をつくるとか、そういった問題だ。(そもそもリソースや資金などがないなどの理由の、本当の意味での「IT弱者」のことをさしているわけではない。)私自身だって、IT強者とまで豪語できるほど、ウェブやコンピューターに強いわけでもないけれど、すくなくとも「弱者です」と開き直って堂々とし続けていることの権力性の問題は常に念頭においておきたいし、自分自身も「弱者」と開き直りそのステータスに甘んじず、少なくともそれを豪語することで開き直ることはなく、常に少しずつでも向上するように努力はしていきたいと思う。そのことが、よけいな負担をほかの人たちにかけない方向にもなるわけだから。
  • 研究会の本題とは外れるが、いわゆるファイトバックの会の謝罪問題に関して、会の方が「謝罪」と「お詫び」の違い、とかいうことにやたらこだわった発言をしておられた。(その方曰く、ファイトバックの会は「お詫び」はしたが、「謝罪」はしていないのだそうだ。)はっきりいってどうでもよい、としかいいようがない。こういう瑣末なことでこだわっているから、本質的な問題を見失うんだと思う。問われているのは、そんな枝葉末節な言葉の問題ではなく、もっと根本的な、会の人権問題に関する対応およびスタンスだろうに。

とりあえずこのあたりをメモっておく。

ファイトバックの会のHPにすごい文書が掲載されましたよ

「ネット上での当会に対する誹謗中傷について」なる、すごい文書が掲載されました。この忙しいのにまったく。裁判に注目集めるべき時期だろうに、なんか全然違う意味で注目集めてしまいそうなすごい文章。

この文書の内容に関しては、まずは21日に開催される、「フェミニズムとインターネット問題を考える」研究会にて、しっかり反論させていただきたいと思っています。その前になるか後になるかわかりませんが、当ブログでも何らかの反論を掲載します。

(追記)お詫び文書も修正されていました。謝罪の意思のなさをここまで公言しなくても、、人格権の裁判を支援している団体だというのに。

フェミニズムとネット問題についての研究会開催のご案内

フェミニズムとインターネット問題に関する研究会を6月21日(日)、大阪にて開催しますので、そのご案内です。
公開の研究会で参加は無料です。お気軽にご参加ください。

フェミニズムとインターネット問題を考える」

フェミニズム運動はML、ブログ、ホームページなど、ネット媒体をどのように使ってきたのでしょうか。そして、ネットにおける人権侵害や「炎上」などの失敗例はなぜ、どのように引き起こされるのでしょうか。インターネットは市民運動の広がりに大きな役割を果たすことができますが、 日本のフェミニズム運動の場合、ネットの効果的利用自体がまだまだできておらず、失敗例も目立っています。

フェミニズムとネット問題研究会では、インターネット上で深刻な人権侵害問題を引き起こしてしまったフェミニズム運動体に関わった当事者としての視点から、その運動およびネット利用の分析、検証を行ってきました。フェミニズム市民運動がネットを利用するために、どういった課題があるのか、どう対応したらいいのか、などについて考えるために、自らの検証結果を題材とした公開の研究会を開催します。
ネットと社会運動に関心ある方のご参加をお待ちします。

日時:6月21日(日)13:00−16:30
場所:弁天町市民学習センター 特別会議室
〒552-0007 大阪市港区弁天1-2-2-700(オーク2番街7階)
(地下鉄中央線「弁天町駅」西口2A出口より徒歩3分 JR環状線「弁天町駅」北口より徒歩3分)
http://www.osakademanabu.com/bentencho/

発言予定者:かとうちひろ、斉藤正美、田丸瑞穂、遠山日出也、宮下奈津子、山口智美 ほか

参加無料

問い合わせ先: 斉藤正美  saitohあっとまーくp1.tcnet.ne.jp (あっとまーくを@でおきかえてください。)

主催:フェミニズムとネット問題研究会/グローカルフェミニズム研究会

(この研究会は、サントリー文化財団の「人文科学・社会科学に関する研究助成」プログラムによる助成を受けて開催されます。)

30MBのダウンロード用チラシとHPの位置づけ

ファイトバックの会HPが更新された。3月の控訴審の宣伝が掲載され、そこから控訴審の傍聴を呼びかけるチラシがダウンロードできるようになっている。

このチラシをダウンロードしてみたのだが、驚いた。なんと容量30MBもある。オールカラーにしても、サイズでかすぎる。ダウンロードするのに時間がかかるではないか。(もし電話線でつないでいる人がいるとしたら、アウトだな。)ネットでダウンロードできるチラシの類いをちょっと見てみたが、たいていカラーチラシでもサイズはこの1/10といったところだ。
おそらくPDFで掲載しているということは、印刷して宣伝のために配ってほしいとか、メールで転送してほしいとかいう意図があるのかとも想像するところだが(とくに、いまだにウェブはほとんど見ず、メールだけ利用する層がそれなりに多い女性運動界隈にあっては)、30MBもあるものを転送されたらとんでもなく迷惑だし、印刷するのだって大変だ。しかもオールカラーである。インク代が大変すぎる。

広めたいという目的のチラシであれば、しかもダウンロードして印刷してもらいたいかもしれないものであれば、なるべく印刷代などがかからないよう、白黒デザインにするなど、私だったら考えると思う。実際、会にいたときもそんな感想をもっていたのだが、チラシ担当の人の意見は違ったようだった。

しかもチラシデザインがすごい。原告写真がどーん、である。ますます写真がでかくなった気がする。ファンクラブ的な印象を第三者にますます与えそうだ。

さて、会のHPには、「チラシ展」というコーナーがある。今回、新しく、2009年チラシ展、というコーナーもできたようだ。会の運動の歴史をチラシを掲載することで表現しよう、保存しようという意図なのだろうと思う。「こんなにいろんなことをやってきたんだぞ!」と言いたいのかもしれない。だが、この「チラシ展」から、この会におけるHPの位置づけというものが見えてくるように思う。

「チラシ展」をみても、同じようなポスターが、少しだけ内容を変えてずらずら並んでいるばかり。これは、この裁判についてよく知らない第三者にむけたページとは思えない。実際、このチラシをならべることによるメッセージは何なのか、伝わりづらい。「報告会など開催者は参考にどうぞ」と書かれていることから、すでに裁判を支援している人が何らかの参考に使うべきページ、という位置づけでもあるようだ。

この会のHPが内向きなつくりであり、この裁判が何か知りたい、という目的で訪れた人には非常にわかりづらいつくりになっているという批判は今までにもあった。この「チラシ展」は、まさにそういう姿勢を表しているように思う。

そして、「30MBのチラシ」は、HPを利用する側のことが頭からすこんと抜け落ちてしまっているという感じで、ある意味その姿勢の典型的な表れかなあ、、という気もしてしまうのだった。

ファイトバックのネタに追われた一年

この半年ほど、当ブログもすっかりファイトバック問題ブログと化してしまった。年末までには一段落つくかと思いきや、結局何も問題は解決しないまま、新年に突入しそうである。昨年秋に判決が出て以来(実質上はそれ以前からだが)、世話人会の活動からもほぼ引退状態にはいっていた私だったが、謝罪問題をきっかけとして再び深く会と関わることとなった。そして、結局会を辞めることにもなった。

いろいろ思うところはあり、来年も何だかんだとこの問題をフォローしていくことになるだろうが、だんだん、より大きな今後につなげるようなスタンスに変えつつ、いろいろ考え、書いていきたいと思う。このトンでもない状況からも、なんとか新しいポジティブな動きも少しずつ作りつつあるので、時期をみつつ、報告もしていきたい。